『緊縮ノスタルジア』挿画

書籍挿画



『緊縮ノスタルジア』という本の表紙イラストを描きました。

緊縮財政下の現代イギリスが、第二次大戦期(=以前の緊縮時代)へのノスタルジアでどれだけ覆われているのかをデザイン、建築、食品、映画、音楽など幅広い視点で論じた本です。



かつての緊縮財政の象徴であったデザインを、ノスタルジックに美化して現代の緊縮財政下で利用する、、といった関係性を表紙で表現することに注力しました。



□ 鏡の構成

「ノスタルジアの対象になったもの」と「利用され変化したもの」を対比的に描くため

、「裏表紙」と「表紙」で“鏡”の関係になるイラストとしました。



「裏表紙」はノスタルジーの対象となった第二次世界大戦期のデザインや建築を、

「表紙」はそれらを現代でいかに利用しているかを描いています。

本の内容を読むと描かれているイラストの意味がわかるような仕掛けになっています。



□ 様々なものが抽象化され繋がる

幅広く色々なスケールやシーンを描くため、タッチは“模様による抽象化”で統一しています。そうすることで、建物や風景・平面図・食器・地図…など、普段横並びになることがない状態のものを繋げることができています。

また、全体として1枚のタペストリーとしても見えるようなイラストを目指しました。

書名:緊縮ノスタルジア

著者名:オーウェン・ハサリー

訳者名:星野 真志、田尻 歩

出版社:堀之内出版



装丁:山田和寛(nipponia)

装画:イスナデザイン